「関立戦」2018レビューその1:関学3QB体制の衝撃

今回から数回に渡って、関西学生アメリカンフットボールリーグ2018Div.1最終節の関西学院大学ファイターズ対立命館大学パンサーズの試合をレビューしようと思います!第1回は特に印象的だった、3人のQB陣を中心とした関学オフェンスの活躍をまとめていこうと思います。

関西学生アメリカンフットボールリーグがハイライトをアップしてくれています。

また、読売テレビで録画放送されましたし、rtvのアーカイブでもみることができます。取り上げるプレーがrtvの動画やハイライト動画ではどのあたりかということも適宜表記していきます。

https://amefootlive.jp/kcafl/3562

先制タッチダウン時はQB18西野選手!

序盤はしばらく両者パントを蹴り合っていましたが、均衡を破ったのは関学でした。関学は第1Q残り3:31の1st&10で、QB3奥野選手にかえてQB18西野選手を投入し、ランパスオプション(RPO)と思われるプレーで約8ヤードほどゲイン。アバウトですが、図にするとこんな感じ。

rtvの動画では21:40頃、ハイライト動画では残念ながらカットです。)

1プレー的には左のウイングの選手がSLBの裏に走り込んで、SLBをリードしてハンドオフかパスかのオプションでしょうね。バックサイドのガードがプルしている事も相まって、ディフェンスから見るとランプレー感が強くて上がりたくなります。今回の場合は、SLBの選手がハンドオフに反応したことを見逃さず、パスをチョイスして約8ヤードのゲインにつながりました。この次のプレーで関学は先制タッチダウンを奪うことになります。

RB34山口選手が約52ヤードの先制タッチダウンラン

上記したプレーの次のプレー、第1Q残り3:05の2nd&2でRB34山口選手が約52ヤードのタッチダウンランで関学が先制します。とりあえず図にしてみましょう。

rtvの動画では22:10頃、ハイライト動画の0:12頃です。)

2このプレーがロングゲインにつながったのは、結果としてカウンター的に機能したということが言えると思います。一応WLBとかでオプションしてるのか、キープやモーションしたレシーバーへのピッチとかもあるのかもしれないけど、今回はハンドオフですね。

まず、

・左からにJETモーションが入る
・左Gがにプルする
・RBへのハンドオフ(Mesh)がで行われる

などにより、特にLBとセイフティーが(オフェンスから見て)サイドに大きく反応する。それを利用するように左サイドへランを展開していくんだけど、オフェンスのブロックがあまりにも美しい。

左Gが右にプルするものの、そこにはスピル(内側につめてつぶれる)してきたDEとそれを抑えているHBがいて、走路がない。僕は初めて見たとき、ここが詰まったから仕方なく左Gは左にブロックしにいったのかと思ったけど、どうもそうじゃない気がしてきた。

右Tの選手の動きをに注目すると、恐らくはじめからカウンター的にデザインされているプレーだろうというのがわかる。インサイドリリースしてダウンフィールドでLBをブロックする際、あえて一度すれ違って、カットバックに反応した瞬間にブロックしてるんですね。で、その裏をRBの選手が走り抜けている。これがもし普通の右のBギャップあたりのパワープレーだったんなら、リリースしてすぐLBをブロックしてるはずです。

つまり、プルをとりあえず右に出すけど、最終的には左を走るデザインだったのではないかなと思います。センターの選手のフックブロックも素晴らしいし、もちろんRB山口選手のランも凄いし、見どころ満載のプレーです。

2タッチダウンパスのQB3奥野選手!

WR81阿部選手へのタッチダウンパス

先制タッチダウン時のQBは西野選手でしたが、2本目・3本目のタッチダウンはエースQB奥野選手が奪いました。第2Q残り6:41にQB3奥野選手がWR81阿部選手へタッチダウンパスを投じます。

rtvの動画では39:25頃、ハイライト動画の0:45頃です。)

3右3×1からJETモーションとプレーアクションを入れて、左のシングルレシーバーだった阿部選手へのパスですね。

このプレーでまず興味深いのが、WR81阿部選手のアライメントとスタンスです。通常のWRのように片足を引いたスタンスではなくて、左Tのすぐ横にタイトセットさせた上で、TE・ウィング・RBのように足を平行にした2ポイントスタンスをしてるんですね。なので実質WRの選手をTE的にセットさせているわけです。3ポイントではなく2ポイントにさすことによって、ディフェンスのカバレッジをリリース前から見やすくしてアジャストしやすくしている部分もあるかもしれません。その分、前にはスタートしにくくなりますが、TEではなくWRでスピードもあるのでカバーできるわけですね。

いずれにせよあの位置にセットすることによってマッチアップしているCBの選手も、中央の密集地帯付くまで寄ってこざるを得ない。ここにJETモーションとRBのハンドオフフェイクを、阿部選手のいる左サイドにすることによって、WRとRBにマッチアップしているディフェンスの選手までもが左サイドへ流れ込みます。実際CBの選手はセイフティーの選手と交錯して、一瞬つまづいてるんですね。これで転倒しないのがむしろ超人的な運動神経だとは思いまけど。

これが通常の3×1のシングルレシーバーのように、ボックスから孤立した位置にアラインしていたら、CBとセイフティーが交錯することはなかったと思います。

いずれにせよ、このプレーはある意味ピックルート的に機能したこともあって、CBを振り切りワイドオープンになっています。あとは1ハイセイフティーとの1対1なわけですが、レシーバーの走り込む場所や、QBの投げた場所も素晴らしくて、タッチダウンになりましたね。

ちなみに、このプレーの直前に関学はタイムアウトを取ってますので、ひょっとしたらこのあたりの指示とかもいろいろあったのかもしれません。まぁ元から準備してた可能性もありますし、アウトサイダーの僕に知る由もありません(笑)

WR83小田選手へのタッチダウンパス

第3Qは関学は無得点に終わりますが、第4Qにフィールドゴールとタッチダウンで得点します。第4Q残り9:32がWR83小田選手へタッチダウンパスとなりました。

rtvの動画では1:26:35頃、ハイライト動画の1:31頃です。)

4フェードとアウトのコンビネーションですね。立命館が第3Qに似たようなプレーでタッチダウンを奪ってるんですが(こっちは後日特集予定)、同じようなプレーですぐさま取り返したのがちょっと面白かったです。

プレーとしては、上手くカバー2の泣き所であるサイドライン際を攻めることができたと思います。インサイドレシーバーのアウトとQBのパンプフェイクでCBの足を止め、その裏にアウトサイドレシーバーがフェードで走り込みました。図中の紫の範囲をCB一人で守るのは難しいわけですが、かといってセイフティーもサイドライン際にタイミングよく投げ込まれると厳しいですよね。

 

これら2プレー以外にも、奥の選手はタイミングよくパスを成功させていて、非常に安定したクォーターバッキングでしたね。まだ2年生だし、伝説のQB三原さんをこえるような選手になってもらいたいなと、ひそかに期待しております。

ダメ押しタッチダウン時はキャプテンQB10光藤選手!

この試合の最後のタッチダウンを奪ったのも関学でした。DB25横澤選手のインターセプトで関学オフェンスになり、QB10光藤選手が投入される。そのわずか2プレー目でタッチダウンになるんですね。第4Q残り3:00からこんなプレー。

rtvの動画では1:38:10頃、ハイライト動画の1:50頃です。)

5

RB6渡邊選手のタッチダウンランです。ブリッツやスタンツが入ったこともあって若干カオスですが、プレーとしてはシンプルなパワープレーだったんだと思います。

そんなことより気になるのはフォーメーションです。2RBのIフォーメーションで、最初右サイドにいたTEの選手がシフトしてきて左TEになります。が、その左サイドはレシーバーがツインセットしている。LOS上に7人必要で、その両端が有資格レシーバーですから、これだとTEの選手は無資格レシーバーのはずです。代わりに有資格の位置になったのは右Tの選手なんだけど…将来、申告して右Tにパスするみたいなことをする為の伏線なんですかねぇ?(あんまりこのあたりのルール詳しく知らないけど、少なくとも僕の頃は審判の方に申告すればOKだった気がする。今もそうなのかはワカンナイ。)
それとも、もう勝てそうだからフォーメーションとかプレーの傾向消しのためのプレーだったのか…それとも、単純にミスだったのか…それとも僕を混乱させるためだったのか(笑)…。あ~気になって夜も眠れない(笑)

 

光藤選手は関学史上68年ぶりのQBでキャプテンなんだそうです。この試合でもQBドローで1stダウンを更新する場面があったりと、プレーでもみせてくれましたし、キャプテンとして精神的支柱のような役割も果たしておられるんだろうなと思います。QBで主将ってカッコいいっすね!

 

こうして振り返ってみると、3人のQB全員がスコアリングプレーに絡んでるんですね。3人のQBを駆使して様々なプレーで揺さぶりをかけられる上に、QBが変わってもプレーの質が変わらない(落ちない)点が関学の強みの一つだと思います。

 

ということで今回は関立戦の関学オフェンスについてでした。
まぁ好き勝手書いたけど、ド素人の独り言だから信用し過ぎないでね(笑)
それではまたっ!